今、アミノ酸ブームといわれるけれど…先月のナターシャタイムズの原稿を書き終わった直後、私はアメリカに飛びました。ロサンゼルスから車で1時間程度のアナハイムというところで、アメリカ最大の健康博覧会が開かれるということをその数日前に知り、急遽2泊4日の超過激スケジュースで、アメリカ健康産業の最前線の情報収集に出かけたのです。 出展はアメリカ全土はもちろん、世界67カ国から、2200社にもおよび、これまで22回の開催中最大級といわれるだけあって、そのスケールの巨大さには度肝を抜かれました。 アッ!というような新素材などには出会いませんでしたが、とにかく驚いたのは、ほとんどの会社が、プロテインドリンクおよび高プロテインの食事代わりになる栄養バーとドリンクを競って出していること。会場を一回りしたら、大きな段ボールが見本品で一杯になってしまったほどです。 「プロテイン」とは英語でたんぱく質のことですが、この言葉の語源はギリシャ語で『最も重要な』という意味。プロテインの摂取は、今やアメリカでは完全なトレンドになっています。例えばロスなりニューヨークで道を歩いている人10人に聞いたら、多分そのうちの8人は高プロテイン食を実践しているというほど、当たり前のことになっているのです。人間が『たんぱく質の塊』であることを考えれば、それがごく自然のことなのかもしれません。 たんぱく質というとまず筋肉が連想されます。でも、骨も血液も内臓諸器官も主たる成分はたんぱく質。細胞の中でにその形を支える骨格タンパクや代謝をつかさどる酵素タンパクはすべての器官に多量に存在するたんぱく質です。運搬タンパクは脂肪やビタミン・ミネラルを運び、抗体と呼ばれるのは免疫タンパク。筋肉の収縮タンパクもあります。体を調整するホルモンもその多くがたんぱく質でできています。 炭水化物や脂質が体内でいくつかの形でしか存在しないのに対し、たんぱく質は実に5万種類以上もの形状を持ち、機能は多彩。すべて細胞の中で目的に合うように作られたり、壊されたりしながら、私たちの生命が保たれているのです。 1つアミノ酸が不足するだけで重大事態に日本では、アミノ酸が大変注目され始めています。一部ではブームの兆しです。アミノ酸というと、なんだか新しい、すごい成分が登場したような印象がありますが、何のことはない、アミノ酸とは、たんぱく質をバラバラにしたもの。 たんぱく質は20数種類あるアミノ酸という玉が千個以上連なってできているネックレスのようなものです。私たちがたんぱく質の含まれる食品を食べると、たんぱく質は消化の過程で鎖がちょん切られてバラバラのアミノ酸になり、吸収されて血中に入ります。 血液を通じて各細胞に運ばれると、たんぱく質の設計図であるDNAに基づいてアミノ酸は次々につなぎ合わされ、体を作るたんぱく質に再構成されます。アミノ酸の玉20種類が並ぶ順序や長さの違いによって、たんぱく質の種類、体内での働きが決まります。新しいたんぱく質が作られる時、古い体タンパクは壊されます。 体内ではこうしたたんぱく質の破壊と建設が46時中行われています。体をつくり、動かすために必要な5万種類以上のたんぱく質を必要な時に瞬時に作り出すためには、すべての材料、つまり、すべてのアミノ酸が常に十分量揃っている必要があります。材料がたった1種類足りなくても、目的のたんぱく質のネックレスは完成しません。 酵素が作れなければ、それを必要としている代謝に問題が出ます。抗体を作るアミノ酸不足すれば、病気に対応できなくなります。アミノ酸という最も重要な材料が不足し、生命活動に必要なたんぱく質がつくれない影響は計り知れないのです。 ダイエットを例にとってみましょう。あるアミノ酸が1つ不足すれば、特定の神経伝達物質が作れず、甘いものばかり欲しくなる。他のアミノ酸1つの不足で、食べた物がうまくエネルギー変換されない。もう一つ別のアミノ酸が足りないため脂肪がうまく分解されない・・どんどん体脂肪が蓄積される。基礎代謝を調整ホルモンが作れず、体内の消費カロリーが減り、太ってしまう。ある種のアミノ酸が不足することで、ストレス対応がうまく行かず、過食に走る。筋肉が壊され脂肪が蓄積されやすくなる。血液中のアミノ酸不足で、水太りになる。ある酵素が作れないため体全体の代謝機能が落ち、痩せられないばかりか健康上深刻な問題が出てくる・・ダイエット面から見るだけでもまだまだ様々な影響があるのです。 食事からだけでは必要量確保できないたんぱく質不足は絶対避けなければなりません。とはいえ、たんぱく質食品を日々食べていても、アミノ酸不足に陥る可能性は大。タンパク源となる食品といっても、すべてのアミノ酸がバランス良く含まれているわけではないからです。また、たんぱく質食品は脂肪と抱き合わせになっているため、アミノ酸をバランスよく必要量食品から確保しようとすると、カロリーの摂りすぎ、脂肪の摂りすぎとなり、深刻な健康上の問題につながります。仮に摂取できても、すべてアミノ酸にまで分解されて吸収される保証もないのです。 このようなことから、すべてのアミノ酸がバランスよく摂れ、吸収が良く、余分な脂肪をとらずに済むプロテイン(ドリンクまたはバー)を食事の一部として摂ることが、健康で生き生きと、長い人生を楽しむために必要不可欠であるとの考え方がアメリカには浸透してきているのです。 どのような方でも、1日体重の1000分の1の良質なたんぱく質確保が必要とされます。その内の3分の1はアミノ酸がバランス良く配合されたプロテイ怖い」とかいって動物性食品を避けている方、体の不調を感じている方、少食の方、ストレスの多い方、運動をしている方などは、その倍40gは必要です。外傷や火傷は大量の体タンパクを壊しますので、そのような場合、1日100g以上のプロテインを摂取すると治りが早まるとされます。 過食ストップ&
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体重( )×
体脂肪率( %)= 体脂肪( )… @ 体重( )ー 体脂肪 ( @ )= L B M( )… A |
2. 一日のたんぱく質必要量を求める
LBM( A )× LBM1kgあたりのたんぱく質要求量( )… B |
● リーンボディマス(LBM)1kgあたりのたんぱく質所要量
ランク | 生活活動強度 | 要求量(g/日) |
1 | 座りがちで、歩行少々 | 1.3 |
2 | 1日30分歩行相当 | 1.5 |
3 | 1日1時間歩行相当 | 1.8 |
4 | 1日2時間歩行相当 | 2.0 |
5 | 重労働(週5日)、または1日2回のスポーツトレーニング相当 | 2.2 |
![]() ![]() 妊娠中の場合 左記の表のランクを2ランク上げる。例えば、毎日座りがちであまり歩かない人はランク1ですが、2ランク上げるので生活活動強度が3になります。妊娠中は多めにたんぱく質が必要だからです。 |
![]() 成長期の場合 妊婦同様、生活活動強度を2ランク上げます。この時期の子供は体脂肪率を10%に統一し、リーンボディマスを計算します。 |
![]() 太りすぎの場合 (体脂肪率が女性で35%以上、男性で30%以上) |
● 40:30:30ダイエットを実践する場合のブロック数
一日に必要なたんぱく質量 ÷ 7 = 一日に必要なブロック数 |