白血球で“敵”を攻撃 からだを守る免疫システム
今年は日本で70年ぶりにデング熱が発生し、アフリカではエボラ出血熱が拡大。冬になるとインフルエンザも毎年決まって流行し、国際線の航空機などによって感染症が拡がりやすい現在、わたしたちは日常的に感染症の恐怖にさらされています。
こうした感染症にかからなくても、冬は空気が乾燥するので風邪にかかりやすく、多くの家庭に風邪薬が常備されているのではないでしょうか。
でも、薬にたよらなくても、からだには自然に治るしくみが備わっています。それが、よく耳にする「免疫」という防御システムです。
免疫システムは、もともと備わっている「自然免疫」と、何かに一度感染してから「抗体」ができて備わる「獲得免疫」の2種類あります。
いずれも、外部からの侵入者やがん細胞を異物とみなして攻撃し、その力を弱体化させて、からだをガードします。
この攻撃部隊の最前線で活躍するのが「白血球」で、血液中やリンパ管に存在しています。
白血球は、B細胞やT細胞などと呼ばれる11種類の細胞の総称です。体内の細胞に酸素を運ぶ「赤血球」が、「ヘモグロビン」という赤い色素をもっているのに対して、白血球は色素をもっていません。そこで、このように呼ばれています。
また、11種類の白血球は、B細胞、T細胞、マクロファージ、好中球などと名称がつき、それぞれ攻撃する侵入者が異なっています。
その敵は細菌、ウイルス、がん細胞などさまざま。免疫システムは、11種類の白血球であらゆる敵に応戦できるようになっているのです。
風邪程度なら 食べて飲んで、寝て治す
風邪の引きはじめには鼻水が出てくることがありますが、これは外部から侵入してきた風邪の原因ウイルスと戦った証拠。同様に、傷を負うと傷口から膿がでてきますが、これも白血球や死んだ細菌などの残骸です。
白血球が敵と戦っているときは、その部分で炎症反応が起こります。風邪やインフルエンザなどに感染して発熱するのも、炎症反応によるものです。
「軽い風邪なら、からだを温めて、食欲がないときには、水分とビタミンCを補給しながら、ひたすら寝るのがよい」と唱える医師がいるのは、安易に解毒剤や抗炎症剤を投与すると、腸管に存在してからだを異物から守る大きな役割を担っている腸内細菌まで殺してしまうから。
熱が引くまで多少時間はかかるものの、免疫システムによって自然に症状がやわらぐのを待つほうが、賢明といえるのです。
栄養、睡眠、休養で免疫力を高める
からだを家にたとえてみましょう。たとえば屋根だけ頑丈につくっても、窓やドアの立て付けが悪かったりすると、その部分から破壊がはじまり、強風などの衝撃が加わると、家全体が崩れてしまうこともあります。
からだだって、健康そうに見えても、下痢や便秘をしやすい、暴飲暴食をしがち、すぐに薬を飲むといった腸内環境にマイナスな要素が多いと、免疫力は低下。
栄養、質の高い睡眠、ストレスフリーの状態など、トータル環境が整っているときに、感染症やがんなどからからだを守る白血球のはたらきもパワー全開となります。
さらに、栄養面からの強化方法をもう少しくわしくみてみましょう。
白血球のもととなるのはタンパク質です。タンパク質は消化酵素や代謝酵素のもとにもなるので、食事や良質なプロテイン製品などでしっかりと確保しましょう。
また、消化酵素が十分に分泌されないと、食べたものは未消化のまま血液中に吸収されてしまう可能性があります。未消化物が血中に存在すると、免疫システムはそれを敵とみなし、白血球がその掃除にかりだされて、細菌など本来の敵が侵入してきても、しっかり戦うことができません。酵素サプリで、完全消化をめざすことは必須です。
もちろんタンパク質だけをとっていればよいというものではなく、免疫力を高めるにはビタミン(とくにビタミンCやB群)とミネラルも必須。そしてバランスよく栄養成分をとりいれながら、心とからだもリラックスさせる。白血球は体温が1度下がると30%も減るといわれているので、冷えにも気をつけていれば、風邪やインフルエンザに負けない元気ボディになるはずです。
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