密接につながった
腸と脳の意外な関係
旅行などで環境が変わると便秘になる。試験や会議の前は下痢になる。緊張するとおなかが痛くなる。
誰しも1度や2度は、このような経験をしたことがあるはず。ストレスでおなかの調子が悪くなるのはよくあることで、これが長くつづき、血液検査などで異常が見つからなければ、「IBS(過敏性腸症候群)」と診断される場合があります。
IBSはストレス病の一種で、全人口の10〜20%にみられるといわれています。でも、なぜストレスがかかると腸の調子が悪くなるのでしょう?
それは、腸と脳がつながっているため。脳と腸は、迷走神経や自律神経(交感神経と副交感神経)でつながり、神経伝達物質のセロトニンの90%は腸内にあるのです。
そして、ストレスで脳が刺激されると、腸管の内側にある粘膜からセロトニンが分泌され、腹痛・便秘・下痢といった症状となってあらわれます。腸が「第2の脳」と呼ばれる所以です。
腸内環境の良し悪しが
健康と美容の決め手に!
腸と脳は相互依存関係にあるので、腸内の環境が悪いと、逆に脳の活動にも悪影響がでます。そして精神的に不安定になったり、免疫システムが弱体化して、風邪や食中毒などの感染症をはじめ、ガンなどの病気が発症しやすくなったりします。
つまり、腸内環境の良し悪しが健康に大きく左右するのです。もちろんお肌の状態にも悪影響をおよぼします。
腸内環境の良し悪しに大きな影響を与えているもう1つの要因は、腸内細菌の存在です。
これらの菌は、3タイプあわせて200〜300種類にもおよび、総数にして100兆個以上も存在しています。小腸から大腸にかけて花畑のように広がっていることから「腸内フローラ」と呼ばれ、それぞれ適正数を維持してバランスがとれていると、腸内環境はいたって良好です。
ところが、抗生物質を飲むことで腸内細菌を絶滅させたり、食物繊維や水分不足で便秘がち、ストレスで便秘や下痢をくり返すといったマイナス要因が加わると、善玉菌・悪玉菌・日和見菌のバランスはたちまちくずれ、腸内に有毒物質が増えて、環境は一気に悪くなってしまいます。
健康的なウンチの色は黄色っぽく、形はバナナ状が理想。ウンチの色が褐色〜黒っぽかったり、おならが臭いのは、腸内環境が悪化している証拠。即対策が必要です!
食生活のひと工夫で
腸内環境アップを!
腸内環境は、食べ物や食べ方の工夫次第で悪化を防ぐことも、改善することもできます。次のことを意識してみましょう。
- 目覚めには、ぬるめの水をグラス1杯、ゆっくり飲む。
- 朝食として、果物の生ジュースを飲むか、果物を食べる。果物はリンゴがおすすめ。
- よく噛んで食べる。
- ヨーグルトや納豆など発酵食品を積極的にとり、腸内の善玉菌を増やす。
- 腸内クリーニングのため、プチ絶食を週1回、定期的に行う。
- リラックスして副交感神経が優位なときのほうが排便はうながされやすい。午前中の排泄タイムには腹式呼吸で緊張をほぐし、副交感神経が優位な状態をつくる。
今日からさっそく腸美人に挑戦を!
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