話題の50度洗いで酵素は壊れないの? |
「酵素は48℃で壊れると聞いていますが、50℃洗いで酵素は大丈夫なんでしょうか?」という質問を最近よく受けます。酵素活性には、温度とpH、それに水分が大きな影響を持ちますが、まず、酵素と温度との関係についてみていきましょう。 「50度洗い」とは?50度洗いというのは、スチーミング調理技術研究会の平山一政さんという方が発見した方法で、しなびた野菜でも、50℃前後のお湯で食材を洗うとヒートショックという現象により葉っぱの表面の気孔がひらき、細胞に水分を取りこむことができるために、みずみずしく蘇るとのこと。 50度洗いの効用は、鮮度復活ばかりでなく、このような効果も…。
実践者のお声を聞くと、みなさん、「と〜っても美味しくなる!」と…!! 50℃で酵素活性は最高に!?50℃で食物を洗ったところで酵素は壊れません。むしろ、酵素活性が最大限、高められるといってもいいかもしれません。というのも、酵素は壊れる寸前に、もっとも活性が高くなるからです。 ![]() 温度と酵素活性については、誤解している人がとても多いので、この機会にきちんとお話ししておきましょう。 酵素は熱に弱く、48℃位から壊れはじめるのですが、すべての酵素がその温度で壊れるわけではなく、かなりの高温ではない限り、その温度に触れたとたんに壊れるということもありません。 酵素が完全に壊れて活性を失うまでの時間は温度によって、かなりの差があります。ロンドンのサウスバンク大学の研究によると、たとえば、50℃であれば、1時間加熱をつづけても、酵素活性は、ほぼ100%維持され、酵素は壊れません。 60℃であれば、20分間の調理で20%酵素活性は低下しますが、1時間の調理でも、約50%の活性は残っています。これが、70℃になると、12分の加熱で酵素活性はゼロになります。 ![]() 当然、100℃以上の高温になれば非常に短時間で食物に含まれている酵素は全滅してしまいます。酵素が100%壊れてしまっている加工食品や加熱調理した食物ばかり食べている私たちは、酵素を外部からうまく補っていくしか健康を維持することはできないのです。 ※グラフは、いずれもロンドンのサウスバンク大学
|