糖質オフで無理なくやせる |
ときどき、こんなため息をついている人を見かけます。東京都内に住むOLのA子さんもそのひとり。年齢はちょうど40歳。女性ホルモンなど各種のホルモンの分泌量が減りはじめて代謝が悪くなってしまうため、体重が落ちにくくなる年齢です。とはいえ、A子さんの場合は低カロリーの和食生活。しかも「毎日1万歩も歩いているし、ストレッチもやってる」。運動不足でもないのにダイエット効果を実感できないのはなぜ? 毎日1万歩運動してもやせないケースA子さんは小柄で小太り体型。健康診断でメタボと判定されてしまう腹囲(へそまわり)90pまで、あとわずかというサイズです。何とかやせたいと、通勤時には会社の1つ手前の駅で電車を降りて歩行距離をのばし、健康によいといわれる1日1万歩を目標に歩くようにしています。 10分歩くと、歩数は約1000歩。30分歩くと、自分の体重分程度のカロリーが消費され、体重が58sのA子さんは、毎日約193キロカロリー分を運動で消費していることになります。 ところが、やせません。運動量が足りないのでしょうか? いえ、そうではありません。食べている食品に問題があったのです。 A子さんのある1日の食事内容をチェックしてみましょう。
さて、あなたはこの献立を見てどう思いますか? 「タンパク質が少なくて、糖質が多めなのでは?」 そのとおり! では、次に、このメニューのどこに問題があるのか、詳しくみていきましょう。 ごはん・パン・麺類……、糖質過多は太りやすい傍線を引いた食べ物には、どれも糖質が多く含まれています。 バナナやイチゴなどの果物は果糖が含まれているものインスリンをあまり刺激しない低GI食品なので、多量に食べないかぎり問題になりません。しかし、市販のミックスジュースやリンゴジュース、ブルーベリージャムなどには砂糖がたっぷり。ライ麦パンにも糖質は含まれ、その割合は全重量の半分も占めます。 煮物には日本酒やみりん、砂糖などが使われるので、これも糖質系の料理。糖質というのは炭水化物のことなので、砂糖類はもちろんのこと、ごはん、パン、麺類、いも類、かぼちゃ、大豆以外の豆類にも多く含まれています。 糖質は1グラムあたり4キロカロリー。1グラムあたり9キロカロリーもある油脂類に比べてカロリーは半分以下。理屈では和食中心だと太らないはずですが、じつは、海外からは、こんな研究結果が報告されています。 肥満の男女約300人を、「カロリー制限をしたオリーブオイルの多い地中海式の食事」「カロリー制限をした低脂肪の食事」「カロリーを制限しない低糖質の食事」の3グループにわけて、2年間の追跡調査をおこなったところ、カロリー制限なしの低糖質食をとっていた人たちの体重がいちばん多く減ったのです。この結果からいえるのは、「糖質が多い食事は太りやすい」ということです。 でも、どうして糖質系の食生活だと太りやすいのでしょう? 糖質をとりすぎると さらに糖分がほしくなる糖質は体を動かしたり、頭を使ったりするときのエネルギー源。食べないというわけにはいきません。でも、とりすぎは禁物。それは、血液中の糖分量がいきなり増えて血糖値が急上昇してしまうため、血糖値をさげようとして膵臓からインスリンというホルモンが大量に分泌されてしまうからです。 このインスリンの効果は絶大で、血糖値は一気にさがります。しかし、同時に、余分な糖質が中性脂肪として蓄えられてしまいます。 しかも、インスリンが大量に分泌されると、今度は逆に低血糖状態におちいってしまいます。そして、胃の近くにある副腎皮質という臓器からアドレナリンという物質がでてくるため、イライラしてきます。 このイライラは脳の栄養不足を知らせるサイン。アドレナリンが分泌されると、てっとり早くエネルギーになる糖質が食べたくなり、甘い物に手がのびてしまうのです。 タンパク質をとって 糖質を減らす再びA子さんの食事メニューをごらんください。 まず、朝食としてパンはやめ、低GI食品の代表である果物をゆっくり噛んで食べます。もちろんご自分で何も加えずつくる生ジュースであればよりベター。ヨーグルトを食べるのであればジャムはやめ、そのままか、ナッツ類や少量のドライフルーツを…。飲み物はスポーツドリンクから良質な「水」に、煮豆は納豆にかえます。 夕食が遅い場合などは、血糖値レベルを維持するために、おやつは食べたほうがよいのですが、和菓子はNG。ほとんど砂糖のかたまりです。むしろ、おやつには果物を。チーズ&ナッツのコンビも理想的です。夕飯の糖質は極力カットが鉄則です。ごはんを食べない分、野菜をたっぷり、タンパク質もしっかり食べましょう。煮物に砂糖はつかわず、どうしても甘みがほしければ、本みりんを少々。もちろん寝る前のリンゴジュースは、NG。 脳の栄養失調を防ぐためには糖質をとらないといけないと思われがちですが、人間の体はタンパク質などを原料にして、肝臓でブドウ糖(糖質)をつくりだせるので、糖質を減らしても心配ご無用! A子さんの場合は糖質を大幅にカットして、インスリンの大量分泌を防ぎ、低血糖→イライラ→甘い物→高血糖→インスリン大量分泌→低血糖という悪循環をたちきると、ダイエット効果が期待できます。 タンパク質の1日の目安は、良質度をしっかり考えて、1〜1.2g×自分の体重分。肉・魚、大豆食品などタンパク質を多く含む食品が両方の手のひらいっぱいに載る程度の量です。食事からとりきれないときはプロテインで補うようにして、糖質のとりすぎを防ぐとよいでしょう。また、食前に血糖値のコントロールによいとされるシナモンやクロムのサプリメントをとるようにすれば、より安心です。 糖質オフが習慣化されれば、無茶なダイエットに走らなくても、スリムなボディをかならず実現できますよ! |