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コラーゲンサプリの虚実:広告と科学/栄養学とのギャップ

肌はしっとり、みずみずしくなり、骨や爪は丈夫になり、関節の痛みや足腰の痛みは改善・・・魅力的なうたい文句、または、イメージ戦略で、ドラッグストアやインターネットで販売されている、コラーゲンをふくむドリンクやゼリー、サプリメントなどなど・・。

こうしたうたい文句に踊らされる消費者は多く、市場規模は右肩あがり。でも、コラーゲンを外部から補うことで、本当に宣伝文句のような効果はあるのでしょうか?
コラーゲン製品についてのあなたの疑問に答えていきましょう。

 

コラーゲン製品の人気と背後にある要因

コラーゲン製品の人気と背後にある要因

コラーゲンサプリメントは近年、美容と健康に関心を持つ多くの人々によって注目されており、サプリメント市場は急速に広まっています。この成長の背後には、若々しい肌、強い骨や関節、良好な健康維持への期待があります。

コラーゲンは、サプリやドリンクなどで補う時代に

コラーゲンといえば、「肌にいい成分」と、女性だったら、すぐにピンとくるでしょう。現在のようなアンチエイジング化粧品全盛期になる何十年も前からコラーゲン入り化粧品は大人気でしたし、プチ整形で「シワとり」といえばコラーゲン注入が主流でした。

日本では2005~2006年頃から、コラーゲンを身体の内側から補うためのコラーゲンドリンクやサプリメントが次々にお目見え。皮膚への効果を示す十分なエビデンスがないまま、美容業界での宣伝活動をつうじ、多くの人々に美肌と若さの象徴としてコラーゲン摂取を推奨してきました。肌の潤いや柔軟性、ハリのアップなどなど、いつまでも若々しい肌と身体を保ちたいと願う女心をしっかりと捉えました。

最近では、有名人やインフルエンサーが、肌、髪、爪への奇跡的な効果を拡散していることに加え、スポーツニュートリションの分野で、関節、靭帯、腱など結合部分に対するメリットも強調されるようになり、「アスリートも使用!」というキャッチコピーなども目にするようになってきました。

コラーゲンは、もともと体内で生成されるタンパク質で、皮膚や軟骨などに存在し、肌の弾力や関節の柔軟性に必要な成分。しかも加齢とともに生成量は減っていくばかりか、分解が増えていきます。外部からコラーゲンを補うことで身体の若さの維持、あるいは若さをとり戻す効果を期待しても不思議ではありません。

欧米では、2016年頃からコラーゲン製品が急激に増えはじめ、いまでは、コラーゲン摂取はブームというより、トレンドになりつつあります。その背景には、プロテインがあるといっていいでしょう。炭水化物を減らし、より多くのタンパク質をとることが定着するなか、プロテイン製品が急増。競争が激化し、差別化のためにコラーゲンが注目されるようになりました。プロテインにコラーゲンを配合した、「プレミアムプロテイン」という位置づけの商品も出まわっています。

また、欧米のコラーゲンの原料会社がエビデンス収集に積極的に投資するようになったこともあるでしょう。研究結果がSNSなどでひろがる⇒医療関係者やメディアの目にとまる⇒消費者に伝わっていく、という好循環がうまれているわけです。

身体のタンパク質の約30%はコラーゲン

コラーゲンは、皮膚(肌・髪・爪)から骨、筋肉、腱、靱帯にいたるまで、体全体の結合組織を形成する主要な構造タンパク質で、体内でもっとも豊富なタンパク質の一種です。

あらゆるタンパク質が私たちの生命を支えているのですが、身体を構成する全タンパク質の約3分の1が、コラーゲンです。体内コラーゲンのうち40%は皮膚に、20%は骨や軟骨に存在し、そのほか、血管や内臓など全身に広く分布しています。

コラーゲンがないと私たちの身体はクラゲ状態。コラーゲンが身体の形をささえ、外力に抵抗してくれているおかげで、私たちは重力に逆らって直立することができるのです。皮膚のハリも、血管の丈夫さも、骨の強度も、コラーゲンがあるからこそ保っているのです。

コラーゲンは、また、ヒアルロン酸やエラスチンなどの他の物質と連携して、皮膚の水分、弾力性、ボリュームを維持します。肌、髪、爪を形成するケラチンなどのタンパク質の構成にも役だちます。

コラーゲンの分解は進み、生成はスローダウン

タンパク質の合成力は、40歳を境に衰えはじめるといわれますから、コラーゲンも例外ではありません。すなわち、加齢とともに、コラーゲンは徐々につくられなくなっていくのです。

その一方、加齢とともに分解されるコラーゲンは増えていきます。私たちは20代から、毎年約1パーセントのコラーゲンを失いはじめるといわれます。栄養素不足、ストレス、紫外線のダメージ、タバコや汚染物質など、コラーゲン分解を促進する要因は多々あります。

分解は進むのに、それを補うためのコラーゲン生成が減るということは、皮膚やそのほかコラーゲンが多い組織のダメージの修復が間に合わなくなることを意味します。だからこそ、減っていくコラーゲンを外側から化粧品で、あるいは、内側からサプリメントで補おうとするのは、合理的と思えるでしょう。

摂取したコラーゲンは、そのまま体内のコラーゲンにならない

摂取したコラーゲンは、そのまま体内のコラーゲンにならない

「コラーゲンを飲んだ方がいいですか」と、最近、私もよく聞かれます。そういうときは、「飲みたければ、飲めば~」と答えます。そう。その程度のものと思っていたほうがいいでしょう。

私たちの身体は、肉、魚、卵、大豆などのタンパク質が豊富な食品やコラーゲンが豊富な食品からのアミノ酸を使用して、自然にコラーゲンを生成します。

コラーゲンは動物特有のタンパク質ですから、動物性食品にふくまれ、鶏の手羽先やフカヒレ、魚の煮こごりなどにとくに豊富なことが知られます。とはいえ、コラーゲン豊富な食品を食べた(飲んだ)からといって、それが体内のコラーゲンになる、あるいは、体内のコラーゲンが増えるというわけではありません。

コラーゲンは、いったんバラバラのアミノ酸に

外部からとるコラーゲンがコラーゲンのまま体内に吸収されて、そのまま体内のコラーゲンとして活用されるということは、残念ながら、あり得ないのです。

コラーゲンがタンパク質の一種であることは前述のとおりですが、どのようなタンパク質であっても、小腸から体内に吸収されるためには、消化酵素によってアミノ酸、またはペプチド(アミノ酸が数個結合したもの)にまで分解される必要があります。そうでなければ、腸管から吸収されることはありません。

コラーゲンをとる(食べる)と、ほかのタンパク質食品と同様、消化の過程でバラバラのアミノ酸になり、体内に吸収されます。これらアミノ酸は血液の流れにのって体内を循環。アミノ酸が不足している組織が必要なアミノ酸を取り込んで、遺伝情報に従って、新たなタンパク質づくりの材料にします。

つまり、いったんバラバラになってとり込まれたアミノ酸が再び皮膚や関節などあなたが期待する部位でコラーゲンづくりのために利用される保証はないのです。

コラーゲンペプチドならバラバラにならず、そのまま吸収?

コラーゲンサプリとして最近主流となっているのは、「低分子コラーゲン」、あるいは、「コラーゲンペプチド」。消化の過程でアミノ酸にまでバラバラになる高分子のコラーゲンではなく、あらかじめ、ジペプチド(アミノ酸が2つ結合)や、トリペプチド(アミノ酸が3つ結合)になっているコラーゲンがつかわれています。

広告などでは、ジペプチドやトリペプチドの吸収率が抜群によく、それらが体内でコラーゲンづくりに利用され、軟骨、骨、筋肉、腱などに定着(沈着)するため効果が高いと勧めます。

ペプチドというのは、タンパク質がある程度分解されていますから、たしかに、高分子のコラーゲンとくらべれば、消化吸収率は高いです。しかし、吸収された分子が体内でコラーゲンに利用されやすいということはありません。今現在まで、経口摂取したコラーゲンがお肌や毛髪、爪に到達することを明確に証明したヒトでの研究もありません(後述)。

ジペプチドやトリペプチドは、実際、消化過程ではバラバラにされないまま、小腸の上皮細胞に吸収されます。しかし、上皮細胞内にとり込まれてから、バラバラのアミノ酸にされ、血流に入っていきます。仮にここでバラバラにならずとも、肝臓に運ばれてアミノ酸にまで分解されることになります。消化の影響はうけないとはいえ、結局、バラバラのアミノ酸になってから利用されるのです。

コラーゲンからのアミノ酸は、ほかのタンパク質づくりにも利用されます。逆に、コラーゲン以外のタンパク質を摂取することで分解されたアミノ酸からでもコラーゲンはつくられます。

コラーゲンは、アミノ酸バランスが悪い

さらにいうと、コラーゲンにふくまれているアミノ酸は、バランスが悪く、かたよっています。最近、プロテインがわりにコラーゲンサプリ(パウダーなど)を摂取する人も多いようですが、決して好ましくありません。身体の全体的なアミノ酸バランスが崩れ、体調不良につながりかねないからです。

ヒトはもちろん、動物も植物をふくめ生物の多くは20種類のアミノ酸をつかって、タンパク質をつくっています。肉を食べても、大豆を食べても、多種類のアミノ酸がふくまれています。

ところがコラーゲンの場合、グリシンとプロリンという、たった2種類のアミノ酸だけでほぼ半分を占めているのです。おまけに、プロリンの約半分は体内で再利用ができないときている!アミノ酸を補うという意味では、きわめて効率が悪いのです。

体内でのスムーズなタンパク質づくりのためにアミノ酸を補うのであれば、体内で必要になるアミノ酸バランスに応じて多種類のアミノ酸を適切に補っていく必要があります。

コラーゲン摂取の科学的根拠の限界

コラーゲン摂取の科学的根拠の限界

コラーゲンサプリメントの人気が高まる一方で、科学的な根拠に関する疑問が浮上しています。コラーゲンの経口摂取が本当に肌の弾力性や骨の健康に寄与するかどうかについては、研究結果がわかれていて、限定的なものが多いといわざるを得ません。そもそも、皮膚や髪の健康に対する経口コラーゲンサプリメントの利点を評価した信頼度の高い大規模試験は、残念ながら存在しないのです。

コラーゲンサプリの研究結果

コラーゲンサプリメントに関する研究のほとんどは、関節や皮膚の健康に関連しています。

合計1125人の参加者を対象とした19件の研究のレビューと分析がInternational Journal of Dermatology に掲載されました。それによると、コラーゲンサプリを使用した人は、肌のハリ、柔らかさ、水分含有量が改善され、シワが目立たなくなったとされます。

これは期待できる結果!と喜ぶのは?? ほとんどの試験で、コラーゲン以外に、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質、コエンザイムQ10、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸などをふくむ市販のサプリメントを使用していたからです。したがって、これらの肌の改善結果が実際にコラーゲンサプリメントによるものとは、いい難いのです。

毛髪や爪を強化するためのコラーゲン使用を指示するエビデンスは、ほとんどありません。2017年の小規模な研究(もろい爪をもつ25人を対象)では、24週間毎日2.5gのコラーゲンを摂取することで、爪のもろさと成長が改善されました。でも、この研究では、プラセボ(偽薬)を摂取させる対照グループの設定はなく、不完全でした。

いくつかのランダム化対象試験では、プロリルヒドロキシプロリンとヒドロキシプロリルクグリシンというペプチドを大量に含むコラーゲンサプリを飲むと、肌のうるおい、弾力性、シワなどが改善できることが示されています。とはいえ、市販の製品を長期間使用しても有益で安全であるかどうかは、もっと大規模で質の高い研究が必要です。

「美しい髪の毛」をイメージしたPRもよくみますが、髪へのコラーゲン補給のメリットを調査したヒトを対象とした研究はありません。現在のところ、コラーゲンサプリやドリンクが毛髪の成長、輝き、ボリューム、あるいは太さを改善できるという宣伝文句を裏づける医学的エビデンスはありません。

一部の研究では、コラーゲンを摂取したときの皮膚の弾力の改善が認められましたが、皮膚の水分量やシミ、シワ、ひざなどの痛みや違和感への効果は認められませんでした。しかし、コラーゲンサプリが関節の可動性を改善し、変形性関節症やスポーツ選手などの関節痛を軽減できることを示す、ほかの試験結果もあります。

このようにみてくるとわかるとおり、コラーゲンサプリの効果に関する科学的な証拠は限定的です。多くの研究で、コラーゲンの経口摂取が皮膚や骨、関節に直接的な効果をもたらすことについては疑問が残っています。

また、コラーゲンサプリメントに関する研究のすべてではないでしょうが、(ハーバート・メディカル・スクールのブログによると)そのほとんどが、「肯定的な研究結果から恩恵を受ける可能性のある関連業界から資金提供または部分的に資金提供されている、あるいは、研究著者の1人以上が関連業界とつながりがある」とのこと。利益相反の可能性が存在する研究をどこまで信じられるか、ということもありますね。

コラーゲン摂取の副作用とリスク

コラーゲン摂取の副作用とリスク

コラーゲン摂取には一般的には副作用が少ないとされています。しかしながら、市場には多くのコラーゲン製品が存在し、品質や成分のばらつきがあります。また、特定の状況や個人差によっては注意が必要な場合もあります。簡単に触れておきましょう。

過剰な摂取と健康リスク

「多く摂ったほうが、早く効く」と思って、推奨量を超える摂取をしている人をよくみかけます。コラーゲンサプリメントを過剰に摂取することは、一般的には推奨されません。最近では、プロテイン替わりにコラーゲンを飲んだり、ジュースや牛乳、みそ汁やスープなど、飲むものすべてにコラーゲンパウダーをくわえる人も多く、ついつい過剰にとってしまうケースもあるようです。

過剰なコラーゲン摂取はカルシウム吸収を妨げ、尿中にカルシウムを排泄する可能性があるため、骨の健康に悪影響をおよぼす可能性があります。また、コラーゲン製品に添加されている他の成分や化学物質に対するアレルギー反応のリスクも存在します。

コラーゲンサプリは、膨満感、胸やけ、満腹感などの軽度の副作用をひき起こす可能性もあります。過剰摂取は、くれぐれもしないように・・・。

アレルギー反応と副作用の可能性

一部の人々はコラーゲンに対してアレルギー反応を示すことがあります。もともとアレルギー体質の人が、コラーゲン入りの保湿クリームなどを使ったり、コラーゲン飲料やサプリメントを摂取してアレルギーをおこしたという報告があり、重篤なアナフィラキシーの事例も複数報告されています。

とくに、コラーゲン濃縮物の摂取はアレルギーの原因となりやすいことから注意が必要です。サプリメントのなかには、魚、貝類、卵などの一般的な食物アレルゲンからつくられているものもあります。これらの食品にアレルギーのある人は、これらの成分でつくられたコラーゲンサプリメントは避けましょう。

摂取する場合、そのほかの注意

コラーゲンサプリやドリンクをどうしても試したいという場合、かならずラベルをしっかり確認すること(オンライン通販での購入では、成分表示などがきちんとなされていないケースも多いので、気を付けてください)。含有成分とタンパク質プロフィール(アミノ酸組成)は、かならずチェック。添加物や増量剤が多いサプリメントは避けます。プロリルヒドロキシプロリンとヒドロキシプロリルグリシンを大量に含む製品は、シワを軽減し、皮膚の水分含量を改善する効果が高いといえます。ただ、かならず、フルブレンドのアミノ酸などと併用することを忘れずに。

妊娠中、授乳中の摂取は、安全性についての十分なデータがないため、サプリメントのようなかたちで多量に使用することは避けたほうが無難です。一人一人の体質にもよりますので、コラーゲン製品を利用する場合は体調の変化に十分気をつけてください。

また、なんらかの疾病があるかた、処方薬を服用中のかたは、新しいサプリメントを開始する前には、医師に相談するように…。痛風になりやすい人、または、タンパク質を制限する必要がある病状がある人は、コラーゲンサプリやドリンクは使用を控えてください。

体内でコラーゲンがしっかり生成されるためには・・

コラーゲン摂取の副作用とリスク

コラーゲンサプリやドリンクを試したいという気持ちはよくわかります。でも、その前に、体内でコラーゲンがしっかり生成されるため、また、コラーゲンの不適切な分解を極力防ぐため、考慮すべきことがあります。

体内のコラーゲンの代謝回転(古いものが壊され、新しいものが合成されていれかわるターンオーバー)は、とてもゆっくりなのですが、ほかのタンパク質同様、合成と分解がくり返され、絶えずいれかわっています。しかし、加齢とともに、私たちの身体は自然にコラーゲン生成を減らしはじめます。そして、生成より、分解が優勢になります。

広告にまどわされず、コラーゲンづくりの条件を整えよう!

コラーゲンをつくるために必要な原材料不足では、当然まともなコラーゲンはできません。したがって、適切なコラーゲン合成のために十分に原材料を揃えておくべきなのは当然です。でも、コラーゲンを構成するアミノ酸さえ揃えれば、コラーゲンができるというわけでもありません

コラーゲンにかぎらず、タンパク質の合成過程(代謝プロセス)では多くの酵素、そして、その協同因子としてビタミン・ミネラルの存在が不可欠です。つまり、いつまでも若々しい皮膚、そして、身体を保つには、コラーゲンだけでなく、タンパク質の材料となる20種類のアミノ酸すべてがふくまれる消化のいいプロテイン(ホエイプロテイン・アイソレートがおすすめ)とビタミン&ミネラルを全般的にそろえておくのが得策です。

とくに、コラーゲンを体内で生成するためには、コラーゲン合成に重要な役割を果たすビタミンCをはじめ、コラーゲンの三重らせん構造形成に関与している、ビタミンA、銅、亜鉛、マンガンなどが必要になります。

コラーゲンは、3本の糸状のタンパク質が、三つ編みのように絡みあってつくられますが、これらビタミン&ミネラルが不足すると、これが、三つ編み状態の頑丈かつ柔軟性のある繊維にならず、困ったことになります。

コラーゲンサプリなどを使用するのは、もちろんOKですが、コラーゲンのようにアミノ酸バランスが極端にかたよったタンパク質を摂取する場合には、かならず、アミノ酸バランスのいいプロテインと一緒にとることが鉄則です。最近、プロテインにコラーゲンがふくまれる製品もお目見えしています。そうしたものを利用するのも一案です。
※プロテインの選び方については、【体がぐんぐん若返るタンパク質パワー】をご参考に…。

コラーゲンの“不適切な分解”を、極力避けよう

コラーゲンの合成には栄養条件を整えることが、とても重要です。しかし、コラーゲンづくり(合成)にだけ気をつかっていても片手おち。 “不適切な分解”をおさえることも同様に大切です。

コラーゲンは生体の維持をうけもっているので、やたらに壊れては困ります。コラーゲン合成より分解が優性になれば、お肌は弾力性を失いシワシワに、骨は折れやすく、腱や血管はもろく、切れやすくなってしまいます。慢性関節リウマチは自己免疫疾患ではありますが、関節の軟骨や骨のコラーゲンの分解が激しくおこります。

コラーゲンは普通のタンパク質分解酵素ではビクともしないよう頑丈にできています。でも、丈夫過ぎでも困ります。壊したいときに壊れてくれないと、これまた大問題。そこで、コラーゲン分解にあたって、生体には非常に複雑なメカニズムが用意されているのです。


活性酸素が抑制因子を破壊、分解酵素が優性に!

コラーゲンは今のところ28種類みつかっています。コラーゲンの分解には、組織の修復/リモデリングのための特別な酵素(MMP- Matrix Metalloproteinaseの略)が用意されているのですが、コラーゲンの種類によって、分解に働く酵素の種類も異なります。

それぞれのコラーゲンに、それを分解するための特定の酵素が存在するわけですが、体内でMMP類が勝手に働いて組織を分解したら大変です。そこで、MMP類がむやみに活性化しないように、抑制因子が厳重に監視しています。

健康的な組織の構造内には、数種類のコラーゲン、MMP類およびこれらに対応する抑制因子がそろって存在していて、組織内における合成と分解の酵素的バランスが保たれています。

ところが、この抑制因子は活性酸素(酸素毒)の攻撃をうけると、ひとたまりもありません。炎症やストレス、紫外線などに対してとても弱いのです。活性酸素によって抑制因子が壊されるとMMPは活性化。コラーゲン分解が優性になります。

MMP類は、現存のコラーゲンを分解するだけでなく、合成される前段階のコラーゲンまで、片っぱしから分解、結果的にコラーゲンは不足。皮膚はハリや弾性を失い、身体全体の老化も加速することに…。不適切なMMP活性は老化の促進ばかりでなく、悪性腫瘍、慢性外傷、硬化症ほか、さまざまな疾患につながります。


不適切なコラーゲンの分解を防ぐには、活性酸素除去に目を向けよう

MMPと抑制因子のバランスが崩れると、コラーゲン分解が優性になってしまいます。とくに、加齢とともに抑制因子は減り、MMPはより活性しやすくなるので、活性酸素対策はコラーゲンを守るために必須です。

生きていれば、かならず体内で活性酸素は発生します。しかし、適切なストレスケア、健康的なライフスタイルを習慣づけていくことで、活性酸素の大量発生を防ぎ、発生した活性酸素を効果的に除去していくことは可能です。

ストレス時には、とびきり狂暴な活性酸素の仲間たちが集結して、体内で強烈な破壊工作を進めます。コラーゲンを守るための最優先は、ストレッサー(ストレス要因)をできるかぎり排除するとともに、効果的なストレスケアを身につけることです。
※ストレスケアについては、コチラを参考に。

激しい運動、大量の飲酒、暴飲暴食、喫煙なども活性酸素の大量発生をまねきます(これらもストレッサーですけどね)。適度な運動、規則正しい食生活、質の良い睡眠などをこころがけてくださいね。

それとともに、抗酸化栄養素をしっかりとること。ビタミンC、A、E、セレニウムなどのほか、食卓をカラフルにすることを心がけ、フィトケミカル(ポリフェノールほか)をしっかりとるようにしましょう。

活性酸素対策は、こちらの記事もご参考に…。
夏の疲れに抗酸化力が効く!細胞レベルから若返ろう!!
怖いぞ、紫外線の害!UV&活性酸素対策で老化を防ごう!

フィトケミカル(植物成分)の抗酸化力で若さを保とう♪

外部からコラーゲンサプリやドリンクをとることを考える前に、まずは、体内でのコラーゲン破壊工作を阻止することと同時に、コラーゲンがきちんと合成されるための栄養条件をしっかり整えることを考えてくださいね。

 

まとめ

  • コラーゲンサプリは、美容と健康に関心を持つ多くの人々によって注目されており、サプリメント市場は急速に広まっている。

  • この成長の背後には、若々しい肌、強い骨や関節、良好な健康維持への期待があるが、科学的な根拠や製品の効果についての情報がしばしば曖昧である。

  • 外部からのコラーゲンが吸収されて、そのまま体内のコラーゲンになることはない。一旦、アミノ酸にまで分解されてから、体内で必要なタンパク質につくりかえられるが、再び自分が希望する部位でコラーゲンになるという保証はない。

  • 「低分子コラーゲン」や「コラーゲンペプチド」が、最近のコラーゲンサプリの主流。アミノ酸までバラバラにならずに吸収されるので、吸収率が抜群に良く、体内のコラーゲンづくりにそのまま利用されるとうイメージで販売されている。高分子のコラーゲンと比べれば吸収率は高いが、吸収された分子が体内でコラーゲンに利用されやすいということはない。

  • コラーゲンに含まれているアミノ酸は、バランスが悪く、かたよっているため、プロテインの代りに飲むことはすすめられない。

  • コラーゲン製品の品質や成分にはばらつきがある。摂取する場合は信頼できるメーカーのものを選ぶと同時にラベルをしっかり確認し、アレルギー物質の有無、添加物などの確認をする必要がある。また、過剰摂取はしないこと。

  • コラーゲン製品の使用を考える前に、体内でしっかりコラーゲンを生成できる栄養的条件を整えると同時に、不適切な分解を防ぐことを考える。


あなたが、最高の健康を手に入れ、いつもハッピーで、ありますように…!

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