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ローフード・ダイエット

生食健康法 Part 5

動物性たんぱく質はどうして悪者に?

 

前回、「ローフード・ダイエットはたんぱく質不足が心配」と書いたところ、私の書いたものを最近読んでいただくようになった方々から、「健康維持には高タンパクは避けるべきと他の本に書いてあった」、「動物性たんぱく質は血を汚すのではないか」、「ベジタリアンは植物性食物だけで健康ではないか」などの反論や質問を多数いただきました。

そこで今回は、NS式ローフード・ダイエットを伝授する前に、こうした誤解を解いておきたいと思います。

ベジタリアンは本当に健康?

まず、ベジタリアンについての誤解をといておきましょう。

ベジタリアンというのは1960〜1970年台からアメリカで急激に広まった健康志向の一つの”運動“ですが、本来の定義による「ベジタリアン」は、菜食中心ではあっても、「卵と乳製品を食べる、食べないかは問わない」ことになっています。一口にベジタリアンといっても食生活のバリエーションは多く、大きく四タイプに分けられます。

  1. ビーガン(Vegan)
    植物性食物しか食べない(純粋菜食主義者)
  2. ラクトベジタリアン
    植物性食物+若干またはすべての乳製品を食べる
  3. ラクトオボベジタリアン
    植物性食物+乳製品の他、卵も食べる
  4. セミベジタリアン
    赤身肉は食べないが、植物性食物とともにチキンや魚介類、乳製品、および卵を食べる

@のビーガン以外はベジタリアンといえど動物性たんぱく質や脂肪をとっているのです。食べる量や続ける期間によっては良質たんぱく質やビタミンB12などの不足は問題になってきますが、野菜や果物をほとんどとらず、動物性脂肪や高糖質食品ばかりの一般的アメリカ人の食生活に比べ、健康的であることは間違いありません。

一方、ビーガンは健康のためはもちろん、動物愛護、地球の環境を守るなどの思いから動物性の食物を一切口にしませんので、もともと肉食動物である人間にとって多くの栄養素不足の状態をもたらします。生活習慣病に苦しむ人が、動物性食物を断ち、ビーガンあるいはローフード・ダイエットを始めると著しい体調の改善がみられますが、長期にわたると体調不良に悩むケースが多くでてきます。ビーガンは加熱は問題にしないので穀物類もとりますが、ローフード・ダイエットでは加熱が御法度であるため、食べられる食物の種類はビーガン以上に限られ、体調の管理はより難しいといえます。

なぜ高タンパク食を避けるべきと言われるの?

高タンパク食とは一般的に高脂肪でもある動物性食物が多く含まれる食事を指しますが、動物性食物(とくに肉類)はいつも悪者扱いされています。「血を汚す」をはじめ、「生活習慣病、ガン、膠原病、関節炎、その他の痛み、腎臓病、肝臓病、アレルギーなどを出現させる」というようなことが書いてあるものをよく見かけます。

確かにたんぱく質を控えるとこうしたトラブルは軽減します。でも、高タンパク食、動物性食物そのものが悪いわけではありません。たんぱく質や脂肪をキチンと分解できないという消化の問題、未消化物質が腸壁を通過してしまうというリーキーガット(漏れやすい腸)の問題がベースにあるから、トラブルを起こすのです。これらについては今後詳しくお話ししますが、病気の原因をすべて動物性食物のせいにするなんて、動物に申し訳ありません。

実際、悪の根源のように言われる動物性脂肪をたっぷり含むタンパク源を中心に食べる種族には、心臓病、脳卒中、ガンなどの発生はほとんどみられません。彼らは、私たちと違うDNAを持ったエイリアンではありません。私たちと全くかわらない、同じ人間なのです。

動物性食物のみでも病気なし

「エスキモー」はアメリカ・インディアンの言葉で「生肉を食べる」という意味です。文明から孤立していた北極圏のエスキモーの食事は90%動物性食物。植物性の食べものがほとんどない北極圏では、魚、魚の卵、アザラシの油や膀胱をふくむ海棲動物がほとんどで、ときたまアザラシの胃のなかで消化されている海藻類を食べるだけです。

このように多量の動物性脂肪と動物性たんぱく質摂取にもかかわらず、3千人のエスキモーの健康状態を調べたある調査では、肥満、高血圧、動脈硬化は全くみあたりませんでした。
腎臓と心臓血管についての調査でも、異常のある人は一人もみつかりませんでした。

もちろん、彼らが優れた健康状態を維持していたのは、魚でも肉類でも自然のままの状態、つまり「生で食べる」ことにより食物に含まれる食物酵素の働きを生かし、自分の消化酵素を無駄づかいしないような食べ方をしていたからに他なりません。

こうしてみてくると、生の野菜や果物しか食べないとされるローフード・ダイエットに動物性食物をプラスしても、何ら不都合はないはずです。

痩せるにも、若返りにも必須

栄養失調の子供のようになりたいなら、動物性食物全面排除のローフードが手っ取り早いかもしれません(こうして痩せた場合、普通に食べ始めたらすぐに大リバウンド!)。でも、より健康になりながら脂肪をしっかり落とし、スリムなナイスボディ、若返りを望むなら、動物性食物に含まれる良質たんぱく質の助けを借りなければなりません。

体内で働く酵素はすべてたんぱく質。良質たんぱく質を確保し、体内のアミノ酸プールを充実させれば、体内の酵素づくりは活性化。基礎代謝アップで体内がしっかり働くようになれば、脂肪だけがみるみる燃焼、肌や体内も若返ります。

動物性食物を食するのは、今アメリカで流行っているローフード・ダイエットには反することです。でも、私はローフード・ダイエットを否定しているわけではありません。むしろその逆で、生きた酵素を摂ることの重要性はこれまで何度も皆さまにお話ししてきたとおりで、私たちの食生活に生食の割合を増やすことのメリットは計り知れないと思っています。

ただ、100%ロー(生)、動物性食物は一切ダメというアメリカのローイズム(生食主義)では、体内の酵素作りに支障が生じます。生食で消化酵素の無駄づかいは防げても、酵素の材料確保はできません。

最新の科学が証明している事実を踏まえ、生命の理に沿うようにアレンジさえすれば、ローフード・ダイエットを実践することによって多くの疾病から解放され、その後も最高の健康と長寿が約束されるはずです。それこそ、私の目指す最強の酵素ダイエット、NS式ローフード・ダイエットです。動物性脂肪のカロリーが気になる方は、脂肪なしで良質たんぱく質が確保できるアミノリアルをうまく利用していただければと思います。

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